骨粗鬆症の最新の知見 2012

  浜の町病院の整形外科部長 馬渡 太郎先生の講演を聞いて来ました、昨年24年の備忘録です。

患者数

 2011年の骨粗鬆症の予防と治療のガイドラインにも詳細が書かれています、要点がいまいち掴めず、講演など生の声はとても勉強になります。


骨粗しょう症は日本の高齢化に伴い毎年30%近く増加している。患者すは女性が980万人、男性が約三分の1の300万人、合計約1,200万人、感覚的にはほとんどいないと思っていた男性の骨粗しょう症患者が多い。

骨粗鬆周患者数

 

 クリニックでは高齢の女性の方には骨粗鬆症の処方は頻繁に出していますが、男性の高齢者には一人も出していません。他の慢性疾患と同様に治療を受けている患者は全体の2割のみで、8割は未治療状態である。治療の潜在的需要は大変多いようです。

50歳女性の生涯における骨折リスクは椎体骨折が37%と高値(3人に一人は椎体骨折を起こす!)、大腿近位骨折が20%、頭骨骨折が17%とかなりの割合で骨折します。

 

診断機材 

 

 DAX法 

診断に欠かせない骨密度測定機はDAX(デキサ法)が最も良いが機械が大きくて高価、意外と正確に測定しようとすると面倒で誤差もでるようです。

DXA

 DAXは大型で高価な為、大病院向けです。数値測定も正確ですが、測定条件でブレが出るようで一般クリニックでは全く必要ないものと感じました。

 

DIP法

当クリニックでは富士フイルムの画像診断ワークステーション(C@RNACORE + DIP)を使用していますが最近フイルムレスでデジタルデータ処理によるMD(Microdesitometry)法で測定可能になり、正確でとても便利になりました。

 Dip

 

 

女性は閉経後年齢の44歳を境に急激に骨密度が落ちる

44歳は女性にとって更年期障害や骨密度低下など大変な年齢のようです。閉経後に骨密度が低下するのはとても有名で、一方男性のピークは女性より早い30歳! 

 エストロゲンと骨量

 

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ビスフォスフォネート製剤について

ビスフォスフォネート製剤は骨を吸収する破骨細胞の働きを抑える骨粗鬆症の薬で、それ以前のビタミンD製剤やビタミンK、カルシュウム製剤に比べて骨折予防効果が高く、ビスフォスフォネート製剤の登場により骨粗しょう症の治療はすすみ、治療により骨折率は40〜50%近く低下したしました。
しかし治療により骨高密度の改善はわずか2〜3%に限られ、骨密度と治療成績の間に大きなギャップがあり、骨密度による治療判定は評価が難しく、薬物治療が上手く入っても骨密度に反映されない。


骨密度とビスフォスフォネート製剤骨密度に対するリセドロネート「第3世代ビスフォスフォネート)の骨密度改善効果


骨折予防効果と骨密度の改善率のギャップがあまりにも大きい(骨折の予防効果はあるのに骨密度はほとんど改善されていない)、このギャップ原因は良くわかっていない様です、ビスフォスフォネート製剤の治療評価を骨密度で行なうのは意味が無く、無駄と感じました。 

治療効果の判定は骨吸収、骨形成マーカーによって行われる、特異度の高いマーカーとして吸収マーカーとしてTRACP5b形成マーカーとしてPINPがよい(TRACP5bとPINPは双方とも日内変動が少ない)。

 

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FRAX

骨粗しょう症の診断基準にWHOのが推奨したFRAXという骨折リスク評価ツールがあるが計算のアルゴリズムが公開されていず、また治療の評価にも使用できない。 更に数値算出の計算式も知らない間に変更されるため骨粗しょう症の業界の中でも評判がよろしくない、なんでも骨粗しょう症研究のエラさんがゴリ押ししてWHOにねじ込んだそうです。


この様なお話はガイドラインには載っておらず、大変参考になります、アルゴリズムを公表せず、密かに知らない間に変更するなど、使えん評価ツールですな〜

 

 

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カルシウム製剤とビタミンD

エビスタ

 牛乳は無駄;カルシュウムの吸収は年齢とともに低下し、普通にカルシュウムを摂取するだけでは効率的に骨の形成に利用されない(いくら牛乳などを多く飲んでも駄目)

ビタミンDはホルモン?;活性化ビタミンDは最近の研究で腸や腎臓のカルシュウムの吸収だけでなく全身のいろいろな臓器に作用している、ビタミンよりホルモンに作用が似ている。(活性化ビタミンDといえば昨年発売されたエビスタ) 

日光が大切;ビタミンDを食事のみで摂取しようと思うとかなり無理があり(ほとんど無理なレベル)、食事よりもビタミンDを活性化させる日光が大切、目安として夏は日陰で30分、直射日光の場合は全身が当たっている必要はなく体の一部が日光に当たっているだけで十分。

日サロでは無理;ビタミンDの活性化には紫外線が必要だが紫外線の中でもUBVのみが関与しているため、日サロの紫外線は95%がUVAのため、日サロでいくら紫外線を浴びても骨は丈夫にならない、またガラスはUVBをほとんどカットするため室内で日光を浴びても骨は丈夫になりません。 

詳細なメモが抜けてしまいました、干ししいたけなどビタミンDが多い食物を例にたとえていました、食べ物だけでビタミンDを補給するのは非現実的な量でした。

 

骨梁のネットワーク

骨梁2

骨は骨梁などによる3次元の網目状のネットワークの連結性で強度を保っている、一度骨粗鬆症が高度に進行した場合、連結性が失われます。

骨梁のネットワークが無くなった状態でビスフォスフォネート製剤で治療を開始しても、残った骨は太くなりますが一度消失したネットワークは回復せず、イビツナ骨形成が行われるため強度は元には戻らない。

よってビスフォスフォネート製剤による治療は骨の連結性が保たれていて、骨粗鬆症が進行していない状態で開始するのが大切である。


骨粗鬆症の治療は早期の治療が治療結果を大きく作用する、高度に進行した骨粗鬆症のではビスフォスフォネート製剤では治療成績が落ち、早期の治療が重要

 

 

二次性骨粗鬆症

プレドニン

ステロイドによる二次性骨粗鬆症は、ステロイド治療は3〜6ヶ月で骨折が発生し、また20mg/day以上で骨折の頻度が急増する。ステロイド治療者は必ず骨粗しょう症の治療をする。 

リウマチも二次性骨粗しょう症の大きな要因である、RAは正常の人に比べて2倍骨折しやすく、8倍のスピードで骨が弱くなる


ステロイド長期内服患者とリウマチ患者は骨粗鬆症に対する注意深いフォローが必要。

 

ビスフォスフォネートはどれくらいの期間飲むの?

ビスフォスフォネート製剤は治療開始後6ヶ月で効果が現れ、60%近く骨折を少なくすることが出来る、どれくらいの期間治療が必要か?2年では治療を中止するとまた元に戻る、5年治療すると効果が持続するので5年間の治療が一つの目安。

 

累積骨折発生率


 

6ヶ月後から骨折予防効果が認められるという図を見つけることができませんでしたが、上の図では2年以上の内服で50%以上の骨折予防効果が認められます。

 

ビスフォスフォネート製剤の副作用

顎骨壊死

顎骨壊死・左の下顎骨が溶けています。

大きな副作用として顎骨壊死がある、頻度は10万に8人・・・雷に当たる頻度?らしい。

顎骨壊死は難治性で治療に難渋するため、歯科の先生はビスフォスフォネート製剤を目の敵にし、「あんな薬、飲んだらあかん!」と言う先生も少なからずいるそうです。

その他の副作用として、大腿骨の真ん中あたりで両側の骨がポッキリ折れる非定型骨折があるそうです(本当にビスフォスフォネート製剤による副作用かはっきりしない部分がある、かなりの割合でビスフォスフォネート製剤の投与とは無関係で非定型骨折が起こっている。)、数カ月前に前駆症状が現れる。治療にはPTH製剤が有用である。

 

テリパラチド

 

テリパラチド

テリパラチド・(商品名フォルデオ)
 

PTH・副甲状腺ホルモン、どちらかと言えば骨を溶かすホルモン、パルスで投与すると骨密度があら不思議増えて、骨が丈夫になる、商品名はテリパラチド、注射薬で治療は一生の内2年間(週一回皮下注射)まで、1ヶ月の薬価が約5万円と高額。


 

年齢と椎体骨折数による治療方針

骨粗鬆症の治療薬の選択

 

表1 既存椎体骨折数・年齢に応じた骨粗鬆症治療薬の使い分け・骨粗鬆症の治療薬まとめ(ガイドライン2011より)

テリパラチドは高額で皮下注射になるため適応は限られます、上記の表からは既存椎体骨折数が2個以上、年齢75歳以上の例や、ステロイド性骨粗鬆症の例など、いわゆる重症例適応になります。

 

 

代表的な骨粗鬆症治療薬

 

骨粗鬆症の治療薬

 

  • グレードA:行うよう強く勧められる
  • グレードB:行うよう勧められる   
  • グレードC:行うよう勧めるだけの根拠が明確でない   
  • グレードD:行わないよう勧められる 

表にあるようにA評価が多いのは週一回投与のビスフォスフォネート製剤で、閉経まもない患者さんは乳がん予防効果のあるSERM(エビスタ)、重症患者は副甲状腺ホルモン薬が良い適応に思われます、カルシュウム剤はほとんど効きません


 今回は配布資料がなく、メモを取るのが大変でした。

その昔、若かりし頃、上司が乳癌の専門で、乳癌の骨転移の研究・治療をしていました、乳癌が骨転移する際はPTHrPなるPTHを似た物質を分泌し、まず破骨細胞を刺激し骨を溶かしてから骨に転移するメカニズムでした、乳癌の骨転移(多発性の椎体転移)にたいしてホルモン療法とビスフォスフォネート製剤を使用して、骨転移の痛みでほぼ寝たきりの患者が普通に歩くまで回復した症例を学会で発表しました、またその後田舎の病院に転勤した時もこのビスフォスフォネート製剤で乳癌の骨転移を直した懐かしい記憶があります。

 

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