福岡早良区の形成外科・皮膚科の星の原クリニックです、当院ではアトピー性皮膚炎の方に漢方薬を処方しています、従来の治療法で十分な効果が見られない方は一度お試しください。

以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊

はじめに

アトピー性皮膚炎の治療は一般的にステロイド軟膏保湿剤の、抗ヒスタミン薬を内服を行います。【従来の治療法が不十分】な場合や、【重度のアトピー】の方は漢方薬を処方します、相性が良ければ劇的に症状が改善します、一度お試しください。

アトピー 膝 2歳小児 png

急性期と慢性期

アトピー性皮膚炎は赤みが強く浮腫が強い【急性期】と、赤みが改善し、乾燥とガサガサが目立つ【慢性期】があります。急性期と慢性期では使用する漢方薬が異なります。

  1. 急性期:炎症・浮腫を改善する漢方薬
  2. 慢性期:体質改善を目的とする漢方薬

急性期の漢方薬

痒み・発赤が強い時に使用する漢方薬です、皮膚の炎症を抑えるためにいずぜれも体を冷やす成分が入っています。【乾燥しているか?】【浮腫みがあるか?】【熱感が有無】などで処方致します。

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白虎加人参湯

【発赤】【乾燥】【喉が渇く】の症状がある方にピッタリです、キレの良い漢方薬で効く方は1ヶ月以内に症状が改善します。

  1. 赤く、乾燥しカサカサしたアトピーの方に
  2. 喉が渇く方にお勧め
  3. 強い消炎解熱作用があるの石膏を15g含有しています
  4. 熱を取る成分と潤いを与える成分が配合されています
  5. 錠剤のタイプもあります

黄連解毒湯

【痒み】【赤み】【イライラ】乾燥はそれほど酷くなく、ややどす黒い発赤に使用します。

  1. 白虎加人参湯とならぶ漢方の代表的な消炎解熱剤です
  2. 首・頭部の痒みによく効きます
  3. 北里大学の有名な漢方専門の先生はアトピーに対して黄連解毒湯を第一選択としています
  4. 痒みだけでなくイライラにも効果があります
  5. 体を冷やす効果があります
  6. 少し苦いので水に溶いて冷やすと飲みやすくなります。

越婢加朮湯

【赤み】だけでなく【浮腫】【浸出液】が多い時に使用します。

  1. 水分を取り除きます
  2. 熱を持って浮腫浸出液の多いアトピーに使用します
  3. 熱を下げる成分の石膏が8g配合されています
  4. 麻黄が配合されており、皮膚の浮腫を取ります

消風散

乾燥湿った両方の症状がまざったアトピーに使用します。

  1. 乾燥した肌から、ジュクジュクした肌まで使えます
  2. 黄連解毒湯と並んで痒みを抑える作用が強い
  3. 夏場に痒みが酷くなる方に
  4. 熱を下げる成分の石膏が5g入っています
急性期の漢方について
急性期の漢方の特徴として【効果が早く】でます、特に上の3つ【白虎加人参湯】【黄連解毒湯】【越婢加朮附湯】はキレが良く短期間で症状が改善します。

慢性期の漢方

急性期が過ぎ、【熱感】や【赤み】は収まったが乾燥掻痒が残っている時に使用します。

準急性期の漢方

温清飲

【黄連解毒湯】に皮膚に潤いを与える【四物湯】が配合された漢方です。

  1. 【黄連解毒湯】で強い炎症がおさまった状態で使用します。
  2. 【四物湯】という潤いを補う成分が配合されています。

温経湯

【手足がほてり】【口唇の乾燥が強い】方に使用します。

  1. 女性に使用することが多いです
  2. 手足がほてり、口唇が乾燥している方に
  3. 月経中に軟便になる方に

体質改善薬

体質改善して、アトピーが再発しないようにします。

発汗がお多い・発汗で悪化する

発汗が多い方のアトピーには【黄耆】が含まれる漢方薬を使用します、【黄耆】は代用的な補気剤で皮膚に栄養を与え、利尿作用があり、発汗を抑制します

補気剤

補中益気湯

元来は体が弱った時に使用する漢方薬ですが、免疫異常を調節する作用があり、虚弱体質のアトピー性皮膚炎の方に使用します。

  1. 超定番な漢方薬です
  2. 【体がだるい】【いつも眠たい】【力が入らない】【寝汗が酷い】などの症状に使用します
  3. 【柴胡】と言う免疫を調整する成分が配合されています、体の免疫の異常を正します
  4. 長期間の内服でアトピーの悪化を防ぎ、ストロイド軟膏の使用量を減らすことが出来ます。

桂枝加黄耆湯

【桂枝】と【黄耆】は『表虚』といい、体の表面が機能低下した状態に使用する代表的な成分で、桂枝加黄耆湯はその双方を含有しています。

  1. 汗がよく出る方
  2. 汗疹がよくできる方
  3. 虚弱で汗を良くかく方に、
  4. 体格の良い方には使用しません
  5. 即効性はなく3ヶ月は頑張ってください

若い方(小児〜青年)の体質改善薬

体質改善薬です。小児には【柴胡清肝湯】、青年期には【荊芥連翹湯】を使用します、いずれも炎症を抑える黄連がと免疫機能を改善する柴胡が配合されています、即効性は期待できず3ヶ月以上は内服します。

体質改善薬

ストレスが原因の場合

ストレスは自律神経免疫機能の影響を与えます、強いストレスでアトピーが悪化することは珍しくありません、嫌な上司が来たらアトピーが悪化、仕事を辞めたらアトピーが治った等は良くある話です。

柴胡剤とアトピー

胃腸が弱い場合

アトピーの方で、腹痛、下痢、鼓腸、冷えの有無で処方致します。腸の免疫バリアーが機能低下した場合アトピーが悪化すると言われています、胃腸が弱い方は以下の漢方薬を処方します。

アトピーと消化器
【アトピー性皮膚炎】目次
  1. アトピー性皮膚炎(入口)
  2. スキンケア
  3. ダニ対策
  4. 外用薬と使い方
  5. 内服薬
  6. 漢方薬
  7. 紫外線治療・VTRAC
アトピー