粉瘤に「穴がある/ない」はなぜ?
簡単に言うと、粉瘤できた場所の違いです。毛穴の「入口の近く」にできた粉瘤は小さな穴(黒い点)が見えやすく、もっと深いところにできた粉瘤は穴が見えません。どちらも皮ふの内側に袋ができて、中身(角質=皮ふのあか)がたまる病気です。
発生部位
粉瘤の【穴のありなし】は粉瘤が毛包のどこで発生するかによって決まります。
毛包の2つの構造
毛包内で粉瘤の出来る部位は大きく分けて2つあり【毛包漏斗部】か【峡部〜外毛根鞘】があります。
更に詳しく
前者の毛包漏斗部の由来の粉瘤は穴があり、後者の峡部〜外毛根鞘の粉瘤には穴がありません。
内容物について
いずれも上皮が真皮内に増殖し、角質(ケラチン)が貯留して嚢胞が大きくなります。
2つの粉瘤
粉瘤ができる毛包の構造
粉瘤は毛包の特定の部位の異常増殖で出来る病気ですが、まずは毛包の構造から理解しましょう、毛包の中で粉瘤ができる部位は【漏斗部】【狭部】の二箇所です。
漏斗部 (浅い部位)
【範囲】皮膚の表面に直接つながっています、皮膚表面から脂腺の開口部までの、毛包の最も浅い部分を指します。漏斗(じょうご)のような形状をしており、その内壁は皮膚の表皮と連続した上皮で覆われています。
峡部(深い部位)
【範囲】皮膚の表面に直接つながっていません、皮脂腺の開口部から、さらに深いところにある立毛筋(りつもうきん)が付着する部分(バルジ領域)までの部分を指します 。【穴がある/ない】は毛包での発生部位の違い
類表皮嚢腫(漏斗部由来)
穴のある粉瘤は毛包の【漏斗部】の細胞が深部方向へ異常増殖して出来ます、漏斗部は表皮と連続し毛包口に開くため、黒い点状の開口を伴いやすいです。ただし極小・深在で肉眼不可視なこともあります、圧迫すると内容物が出てきます。外毛根鞘嚢腫(狭部由来)
穴のない粉瘤です、外毛根鞘嚢腫といいます、毛包の深い部位【毛包狭部】の細胞が深部に異常増殖します。峡部は皮膚表面に直結しないため、通常は穴はありません。90%は頭皮にできます、壁が厚く事が多いです。粉瘤が出来るまで
穴のなる粉瘤のない場合
開口部の閉鎖
穴のある粉瘤の場合は、毛包の浅い部位、漏斗部でなんらかな理由で毛包口が閉塞します。漏斗上皮の下方向への増殖
漏斗部の上皮細胞が深部方向へ増殖し、増殖されたケラチン(ラメラ角質)が排出できず溜まります。周方向増殖と拡大
穴のない粉瘤の場合
開口部の閉鎖
穴のない外毛根鞘嚢腫の場合は、より深い部位で何らかの理由で毛包口が閉塞します。狭部上皮の下方向への増殖
狭部の上皮細胞の深部方向へ増殖し、ケラチンが排出できないので滞留していきます。周方向増殖と拡大
その他の違い
【穴のある粉瘤】と【穴のない粉瘤】は穴の有無以外に実はちょっとした違いがあります。
項目 | 穴あり粉瘤 | 穴なし粉瘤 |
---|---|---|
内容物 | ラメラ角質(白〜黄) | 角質塊(やや硬め) |
好発部位 | 顔・体幹など | 頭皮内が多い |
被膜の厚さ | 薄め | 厚め |
よくある質問(FAQ)
穴が見えません。粉瘤ではない?
粉瘤は必ず穴が見れるわけではありません、圧迫すると小さく内容物が漏れ出ることで穴の位置がわかることがあります、まが頭皮内いがいでも穴のない外毛根鞘嚢腫の場合もあります。
押すと中身が出ます。出し切れば治りますか?
粉瘤の本体は内容物ではなく被膜の部位です、袋の部位を全摘しないと、内容物を出すだけでは何度でも再発します。
粉瘤は穴の有り無しで治療方法は違いますか?
穴がある場合は、穴と途中のトンネルと被膜の3つを全て取ります、穴がない場合は、被膜ごとを全集性に取ります。
検査は必要ですか?
まず手術前は、粉瘤の形や深さを確認するために、超音波検査が必要です。また粉瘤が5センチ以上の場合は採血が必要です。術後は場合により摘出した粉瘤の顕微鏡検査を行います。
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