粉瘤の中には大きくなったり小さくなったりするタイプがあります、このページではそのメカニズムについて専門医が解説します。

なぜ大きくなったり小さくなったりするのか?
「粉瘤が腫れてきたけれど、しばらく経つと小さくなった。このまま治るのでは?」 そう思って様子を見ている方は少なくありません。しかし、粉瘤が自然に消えてなくなることはめったにありません。 なぜサイズが変動するのか?
粉瘤のサイズが変わる正体は、中の「袋の大きさ」が変わっているのではなく、粉瘤の炎症の程度が変わっているからです。

3つの炎症のタイプ
炎症の初期:
粉瘤の内容物に対する異物反応で免疫細胞の好中球・マクロファージが主体でほんのりと赤い程度で済むケースがあります
激しい炎症:
粉瘤の内容物に大量の細菌が存在した場合、粉瘤内容物の細菌が粉瘤の被膜外に漏れ出すと好中球と激しい炎症反応を起こします、細菌感染です。その結果大量の膿(好中球の残骸)が発生します。多くの場合赤みは急速に広がり、粉瘤のサイズも急速に増大します。
慢性の炎症:
中程度以下の炎症がくすぶり続けるケースで慢性肉芽腫といいます。少量の細菌と被膜が残った場合に起こります、好中球でなく免疫細胞のマクロファージの反応です、膿はあまり出来ずピンク色のゼリー状の物質が粉瘤の中身を占めています、触った感じはプヨプヨして赤みはそれほど強くありません、定期的に大きくなったり小さくなったりを繰り返します。

粉瘤が大きくなる時に起こっていること
大きくなる時:粉瘤内部・周囲で炎症が起こっている、炎症は2段階あると推測されています。
第一段階(異物反応):
粉瘤の膨らみ・炎症の第一段階は、何らかの原因で粉瘤の被膜から漏れ出た粉瘤の中身(ケラチンと皮脂を主成分とした垢の様な物質)に対する異物反応です。が異物「異物」と認識して、まずはじんわり赤く腫れだします、この段階ではまだ膿(好中球の残骸)はそれほど多くありません。第二段階(細菌感染):
粉瘤の内容物には悪臭を伴うタイプがあります、特に穴があるタイプの粉瘤は粉瘤の内容物に細菌が存在します、粉瘤被膜がしっかりしており内容物が被膜内部にとどまっている限りは、免疫細胞は反応しませんが、ひとたび被膜の外に出たると粉瘤の細菌と好中球を主とする免疫細胞の強い反応を起こし細菌感染状態になり、炎症が急激に進み大量の膿(好中球の残骸)が発生し粉瘤が大きくなります。
粉瘤が小さくなる時は2つのケース
「一時的な封じ込め」に成功したケース
炎症がそれほど大きくない、粉瘤の中身が無菌性(細菌がない)ケースで起こりやすい、体が漏れ出した粉瘤の中身を周囲の組織で包み込み(線維化)、一時的に炎症を抑え込むことに成功した状態です。
粉瘤が体表部に破裂したケース:
強い炎症で皮膚の表面が破れ、粉瘤の中身の多くが皮膚表面に排出された場合、異物反応を起こす物質や感染の元となる細菌が少なくなるので腫れが少なくなります。
粉瘤は残ったまま
両ケースとも粉瘤の被膜や内容物が残っているので「治った」わけではありません: 中身(異物)は依然としてそこに残っています。多くの場合また再発して、【大きなったり小さくなったり】を繰り返します。

中程度以下の炎症が続くケース
実はもう一つの【大きくなったり小さくなったり】するケースがあります、上記の大量の膿をもつタイプは強い炎症がおこります、ほとんどのケースで赤く腫れて痛くます、一方痛みや腫ればそれほどでもないのに大きくったり小さくなったりを繰り返すケースがあるます、【慢性肉芽腫】です。
慢性肉芽腫
この状態を慢性肉芽腫と言い、粉瘤の内容物や被膜は少量で被膜内の細菌は少量か存在しません、マクロファージと言う免疫細胞細胞はキープレイヤーで、内容物は膿でなくピンク色のゼリーです、このゼリー状の物はマクロファージから分泌さた酵素と分解された粉瘤の内容物と、異物を体の中に取り込んだマクロファージです。慢性肉芽腫の治療
この病態の炎症は細菌感染でなく、異物反応になりますので抗生物質の内服は効果がありません、このピンク色のゼリーの物質は半固形で膿瘍のように液体でないの簡単に排出できません、膨らみとほぼ同じ大きさに切開して、丁寧に掻き出す必要があります、普通の粉瘤の手術に比べてすごく手間暇がかかります。
大きくなったり小さくなったりする粉瘤の治療
米国などは粉瘤の初期の炎症・膨らみ始めの時期は局所のステロイド注射が行われることありますが、日本の保険診療上では難しく、また異物反応でけでなく細菌感染を合併している場合は症状が悪化するため日本ではほとんど行われていません。
内服治療
赤みがそれほど酷くない場合、抗生物質の内服と異物反応を抑えるステロイドの錠剤の双方を同時に内服していただきます。
切開排膿
赤みと炎症が激しい場合、応急処置として、小切開・洗浄を行います、被膜が残っていますので一時的な処置です、膿を出すだけですので傷の大きさは大きくなりません。
根治術
切開排膿と同時に被膜摘出も行います、被膜を取り切ることで粉瘤の再発を防ぐことが出来ます。切開線はほぼ膨らみと同じ大きさになります、くり抜き法や小切開法は被膜の取り残しのリスクが上がるので出来ません。慢性肉芽腫の治療
この病態の炎症は細菌感染でなく、異物反応になりますので抗生物質の内服は効果がありません、このピンク色のゼリーの物質は半固形で膿瘍のように液体でないの簡単に排出できません、膨らみとほぼ同じ大きさに切開して、丁寧に掻き出す必要があります、普通の粉瘤の手術に比べてすごく手間暇がかかります。

