
眼瞼下垂が起こる原因とメカニズム
健常な方は黒目(虹彩)が80%以上見えており、瞳孔(黒目の中心)も全て見えます。しかし、眼瞼下垂の患者さんでは瞼が上がらないため、黒目が小さく見え、視界が悪くなります。 常に眠たい様に見えるという外見上の問題のみならず、【視野不良】【肩こり】【眼精疲労】【自律神経失調】の原因となる病気です。 本ページでは、眼瞼下垂になってしまう原因について詳しく解説します。眼瞼下垂は自然治癒せず手術を行う必要があります。福岡で眼瞼下垂の手術を希望の方は当院の治療方法ページをご覧ください。
このページは星の原クリニック 院長 林俊(医学博士)が記載したものです。

眼瞼下垂の原因
眼瞼下垂は大きく分けて3つの原因があります。
- 腱膜性の眼瞼下垂
- 皮膚弛緩性の眼瞼下垂
- 一重瞼による偽性眼瞼下垂症

【上まぶ】たが開くメカニズム
瞼を開くには、以下のようにシグナルが伝達され、最終的には挙筋腱膜が瞼にある軟骨(瞼板)と、瞼を上に引き上げます。 眼瞼下垂という病気は以下のいずれかの機能しない場合に発症します。
脳からの命令(中枢神経)
動眼神経(末梢神経)
眼瞼挙筋(筋肉)
挙筋腱膜(腱)
瞼板(軟骨)

腱膜性の眼瞼下垂が起こるメカニズム
眼瞼下垂の原因として最も多いのが腱膜性眼瞼下垂です。腱膜性眼瞼下垂の原因は一つではなく、主に以下の3つがあります。
挙筋腱膜が瞼板からの剥がれる(離れる)
瞼板から挙筋腱膜が剥がれて、眼瞼挙筋が収縮しても力がうまく伝わらないため眼が開きません。
挙筋腱膜が薄く脆くなる(ゆるむ)
挙筋腱膜がゴムのように伸びて、筋肉の収縮が伝わらず、瞼があがりません。
挙筋腱膜と周囲と癒着する(くっつく)
筋膜が周囲にくっついて筋肉を動かすことが出来ません

後天性の腱膜性・眼瞼下垂の原因
後天性の腱膜性眼瞼下垂にはさまざまな原因がありますが、原因が不明な場合も珍しくありません。
- ハードコンタクトレンズの長期使用
- 花粉症・アトピー性皮膚炎による上眼瞼の長期間掻爬
- 加齢性
- 外傷後(交通事故など)
- 白内障の術後
- 原因不明
- 重症筋無力症(眼瞼型)
ハードコンタクトレンズの長期使用
ハードコンタクトレンズを15年以上、長年使用している方は発症しやすいとされています。 コンタクトレンズを着脱する際の、まぶたを引っ張る操作で挙筋が伸びることが原因と推測されています、治療にはよく反応し、術後パッチリ眼が開きます。
長期間、眼をこすった場合
【花粉症】【アトピー性皮膚炎】等のアレルギーでまぶたを日常的にこすったり、アイメイクを落とす際に強い力でクレンジングを長期間行っている方は、挙筋が弱りやすい傾向にあります。
加齢によるもの
加齢に伴い、挙筋が弱ってしまう、挙筋と瞼板の繋がりが緩んでしまうことで、発症します。 老人のほとんどが程度の差こそあれ、老人性の眼瞼下垂が見られます。老人の場合は挙筋以外に【皮膚のタルミ・皮膚弛緩性】による眼瞼下垂が加わります。
重症筋無力症(眼瞼型)
当院では2例経験があります、瞼が下がる前に斜視や複視等の症状があります、手術では治らず大学病院などの神経内科での治療になります。

先天性眼瞼下垂について
上瞼を上げる筋肉である眼瞼挙筋が未発達のため、目が開きません。おおよそ80%の患者様が片眼のみ症状が現れます。先天眼瞼下垂では挙筋・挙筋腱膜が【全く無い】のか【残っている・部分的に残っている】かによって治療方法が異なります、両側の重度の先天性の眼瞼下垂の場合は多くの場合挙筋腱膜がのなく腱膜移植が必要です。
- 80%は片眼のみ
- 両側の重度の眼瞼下垂は腱膜移植が必要(当院では行っていません)
- 挙筋腱膜自体がない場合があります
- 手術直後は眼の開きが良いが、時間経過とともに再発することが多いです。(原因不明)

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