多発する皮下のしこりです、粉瘤との鑑別が必要になります。
多発する皮下腫瘍です、臨床的にそこそこ診察することがあるのですが一般的な情報が多くありません。血管腫に分類されますが、血管成分は被膜に薄く存在し、血流も多くありません、腫瘍の体積の殆どは脂肪由来の成熟脂肪細胞で構成されており、肉眼的には泥状で、脂肪腫の様に塊を形成することは殆どありません、また粉瘤に比べて被膜は薄く、摘出には手間がかかります、最大の問題は多発し、治療対象が多すぎる事です。
臨床的特徴
- 平均年齢は16-84歳、平均24歳
- 成人発症
- 腕と体幹に好発
- 大腿、手、頭、首は稀
- 多くの場合多発性
- 一般的には2-4個
- 時に無数の結節となることもある
- 多発性の場合は家族性の可能性
- 痛みを伴う事がある
- 数が多すぎる場合は治療が困難
- 再発は少ない
その他
- 皮下の境界が明瞭な腫瘤
- 成熟した脂肪細胞と小血管によって構成されている
- 脈管構造は被膜領域で多く存在する
- 脈管は細かい毛細血管が多い
- 遺伝学研究では一般的な異常は認めない
肉眼像
被膜は粉瘤より薄く、剥離の途中で必ず破れます、内容物はコーンスープ様で泥状です。下の写真は20mm大の血管脂肪腫の内容物が抜けた後の被膜です、周囲との癒着はあまりありませんので1.5mmの穴を開けて摘出しました。
肉眼像2
当院では手術時の切開線を小さくしているため、摘出時にほぼ100%血管脂肪腫の被膜が破れるのですが、下の写真は被膜が保たれている血管脂肪腫です、大きさは1cm程度でが、この様なしこりが皮下に無数にできます。
超音波検査
大きな血管脂肪腫の超音波検査像、血管脂肪腫は淡褐色泥状で、エコー上は粉瘤との区別はつきません
顕微鏡像
血管脂肪腫と名称がありますが、脈管構造は被膜周囲に毛細血管がまだら状に存在するのみで、殆どは脂肪成分で占められています、また手術中に出血し易いというような事もありません。