【尋常性白斑】は皮膚が白く抜ける病気です、珍しくない病気なのですが有効な治療法がなく、少し前までは治らない病気として扱われていました、このページでは白斑の原因、治療法について記載いたします。
以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊」
はじめに
色素を作る細胞(色素細胞=メラノサイト)が何らかの原因で減少したり消失し、皮膚が白くなる病気です。難治性で塗り薬だけでは良くならいない事が多く、ひと昔前までは治す方法がありませんでした。
尋常性白斑の頻度
皮膚が白くなる病気は2009年では1年間に90万に近くの患者さんが新たに発生します、うち6割は尋常性白斑で、年間60万人(1000人中6人)が発症する、それほど珍しい病気ではありません
原因
尋常性白斑とは皮膚の表皮にある(メラノサイト=色素細胞)が何らかの原因で減少・消失する後天性の病気です。
- 自己免疫性疾患です
- 色素細胞(メラノサイト)に対する免疫ができています
- 他の自己免疫性疾患の甲状腺や糖尿病の注意が必要です
白斑に似た病気
尋常性白斑以外に皮膚が白抜けする病気があります、治療開始前にまず以下の似た病気でない事を確認します。
- 脱色素性母斑(生まれつきの白アザです、幼児になるとハッキリしてくることがあります。)
- サットン母斑(ホクロがあり周囲が白くなります)
- 炎症性脱色素(火傷・外傷・湿疹の後に発症します)
- 白色粃糠疹(学童に好発します、日焼けで目立ちますが自然に治ります)
- 癜風(マラセチアという真菌が原因です、まだら状の白いアザですが、擦ると落ちます)
- 梅毒性白斑(梅毒感染後3ヶ月〜3年後に発症します、湿疹・脱毛・爪の変形も起こります)
- 薬剤性白斑(化粧品や化学物質に接触後に発症します)
白斑の合併症
尋常性白斑は他の自己免疫疾患や膠原病を高確率で合併症します、特に甲状腺機能亢進症と糖尿病の合併症に注意が必要です、一度も検査をしたことがない方は採血やエコー検査をお勧めします。
合併症有病率 | 35.48% |
甲状腺機能亢進症 | 23% |
関節リュウマチ | 3.3% |
悪性貧血 | 2.98% |
2型糖尿病 | 3% |
脱毛症 | 2.7% |
1型糖尿病 | 1.5% |
慢性蕁麻疹 | 1.13% |
強皮症 | 0.86% |
潰瘍性大腸炎 | 0.73% |
シェーグレン症候群 | 0.66% |
SLE | 0.6% |
セリアック病 | 0.33% |
アジソン病 | 0.26% |
疱疹状皮膚炎 | 0.26% |
クローン病 | 0.13% |
白斑の治療
以下の方法を単独か組み合わせて治療します。
- ステロイド外用
- 免疫抑制剤の外用*
- 活性化ビタミンDの外用*
- エキシマライト・紫外線治療
- 炭酸ガスフラクショナルレーザー(小範囲)*
- マイクロ移植(小範囲)*
*の治療法は保険適応がございません。
治療の経過
真っ白なのか?まだ色が残っているのかによって治療の難しさが違ってきます、色が残っている場合は軟膏だけで改善することが多いです。白くなってから10年以上経過している白斑は治療が難しく、いろいろな治療法を組み合わせます。