はじめに
一度取れたシミが再び出て来る現象、いわゆる『戻りジミ』です、ほとんどの場合6ヶ月で薄くなります。せっかく取れ たシミが『すぐに出てきた』と患者さんに取ってはかなりガッカリな出来事です、世界中のレーザー治療を実施している医療機関が対策を研究していますが、未だにPIHを完全に予防出来ていません。
レーザー治療後のPIHとは
【もどりジミ】のピークはレーザー治療1ヶ月後です、自然に徐々に薄くなって行きます。PIHを発症するかどうかは、体質的な問題、レーザーの反応が強すぎた場合が関係します。
PIHの頻度
PIHは自然に消えます
一般的には40%の患者さんでPIHが出ると言われています、当院ではレーザー照射時に工夫をしているため20〜30%の頻度です、99%のPIHは半年で自然に薄くなりますが、極稀に2年近く残ることがあります。
- 1ヶ月で40%
- 3ヶ月で11%
- 6ヶ月で1%以下
レーザー照射後のPIHの経過
PIHのピークは施術後一ヶ月です
- レーザー照射
- 7~10日間、痂皮ができます。
- 痂皮がとれ後ピンク色の肌が見えます。
- 痂皮の取れた跡の赤みが強い場合はPIHが起こりやすいです。
- 痂皮が取れた後にまだシミが残っていた場合は、PIHではなくシミの取り残しですのでその場で再照射いたします。
- PIHのピークは1ヶ月です、その後時間とともに薄くなります。
- 1ヶ月後にPIHが出ていなければ、その後PIHを起こすことはほとんどありません。
- PIHがひどい場合は外用薬かレーザートーニングを実施することがあります。
PIHの予防と治療
一般的な【スキンケア】、【保湿】【紫外線予防】【摩擦の防止】がとても大切です、治療後の新しい皮膚は薄くか弱いです、乾燥や刺激に脆弱です、保湿とUVケアを徹底してください。
治療部位の安静
レーザー治療部位は若干痒いです、擦りたい気持ちは理解できるのですが摩擦はPIHの原因tなります、また化粧を落とす時も擦らずに優しくお願いいたします。
保湿
治療後の皮膚は生まれたてのため薄く乾燥に弱いです、こまめにしっかりと保湿してください。
紫外線防止
治療後2〜3ヶ月間は紫外線の予防は必修です、この時期に日焼けしますと取れにくいシミ、遅発性太田母斑ができることがあります。
禁煙
タバコは活性酸素を誘導し、皮膚にダメージを与えます、当然お肌に良くありません、シミ治療中は禁煙をお願い致します。
外用薬
照射後2〜4週間、【弱い外用ステロイド軟膏】を使用します、経験上高いPIH予防効果があります、中止するときはいきなり中止するのではなく、2日に1回の使用などテーパリングします。またある種のシミには治療後の【ハイドロキノン】の仕様が必修になります。
レーザートーニング
1〜2週間間隔で弱いレーザー、レーザートーニング・ピコトーニングを行うと早くPIHが薄くなることがあります、一部の海外のDrは【赤みの残っている時にトーニングを行うとPIHの予防効果が極めて高い】と報告があります。
PIHもどき
PIHと異なり6ヶ月以上経過しても薄くならないタイプの『戻りジミ』があります、残念ながら表面から診察しただけでは判別しません、取れにくいシミ顕微鏡写真で見ると表皮の底の形がいびつで、表皮突起が真皮に深く入り込んでます(出芽タイプ)。
平坦 or 出芽?
【出芽タイプ表皮】にあるシミの治療前後
『PIHもどき』のシミは治療により一見取れた様に見えますが、深い部位にあるシミが取りきれておらず、そこからシミが再発してきます、PIHと異なり時間が経過しても薄くなりません、高出力での再照射が必要になります。