福岡早良区の形成外科・皮膚科の星の原クリニックです。一昔前に比べてニキビの保険診療で使える薬が増えたため、根気よく正しく治療すれば8〜9割のニキビは改善します、残念ながら普通の治療では治らない【難治性のニキビ、ニキビに似た病気】があります、このページでは医師が治りにくい【ニキビ・ニキビもどき】について解説します。

以下の内容は院長の林が執筆しています「文責:星の原クリニック院長 医学博士 林 俊

難治性ニキビ・ニキビもどき

しくしく

見た目はニキビと区別がつかないことが多いので大変です。

  1. 集簇性ざ瘡
  2. 多嚢胞性卵巣症候群・PCO
  3. アクネ症候群(PAPA症候群)
  4. 酒さ
  5. 顔面播種状粟粒性狼瘡(LMDF)
  6. 好酸球性膿疱性毛包炎
  7. 背中のニキビ(マラセチア毛包炎)
  8. 頭皮内のニキビ

集簇性ざ瘡

思春期後期に発症することが多い難治性のニキビで炎症反応が強く、女性より若い男性に多いとされ、 硬結、嚢腫、膿瘍、皮下瘻孔や瘢痕など様々な症状を見せます、数年から20年以上にわたって長い経過で化膿を繰り返して肥厚した瘢痕(はんこん)などを形成するのが特徴です。【ニキビ】と同様に毛包が炎症を起こしていますが、細菌が原因でないため抗生物質が効きません、ステロイドや抗炎症作用のあるDDS内服が使われることがあります、妊娠時に催奇性の問題がありますが米国ではイソトレチノイン(経口レチノイド)内服がよく使われています。

  1. 若い男性に多い
  2. 腫れ・炎症が強いニキビが顔、体どこにでも出来る
  3. 普通の治療では全く治らない
  4. アメリカでは経口レチノイドが良く使われる

多嚢胞性卵巣症候群・PCO

卵巣の病気でホルモンバランスが良くありません、月経不順や無月経が起こるため、婦人科の受診が必要です。 男性ホルモンのアンドロゲン分泌が多い場合は、脂性肌となり腫れぼったく毛穴が目立つ肌質になります、アンドロゲンの働きを抑える内服薬もありますが、内服をやめると元に戻るのと、月経不順の原因となります。レーザー治療で改善することがあります。

  1. 卵巣の病気です
  2. 不妊・月経不順があります
  3. ホルモンバランスが崩れています
  4. 一般的に男性ホルモン(アンドロゲン)が他の人より多い

アクネ症候群(PAPA症候群)

指定難病です、【関節炎】【皮膚潰瘍】【難治性のニキビ】が出来る病気です 遺伝性の稀な炎症性疾患です。必ず全ての症状がそろっているわけではありません、患者数は100人未満と言われいますが当院でも一例発見しましたので実際はもっと多いのでは。

  1. 指定難病です
  2. 遺伝性があります
  3. 重度のニキビです

酒さ

原因不明の顔の赤みです、【ぼやっとしたタイプ】と【ブツブツしたタイプ】があります、ブツブツしたタイプはニキビと良く間違われます、もともと難治性でニキビの治療とは全く異なります。 酒さのページへ

顔面播種状粟粒性狼瘡

病名が長い....。眼の下に出来る赤いブツブツが特徴です(一般のニキビは眼の周囲には出来ません)、20〜30歳代に多く、痛み・痒みは少ないです、オデコや鼻など顔の中心部にも出来ることがあります、白血球の一種であるマクロファージが関係していますが詳細不明です、【酒さ】の一部とも言われています。

  1. 眼の周囲にできやすいです
  2. 痒み・痛みはありません
  3. 毛包の脂腺への肉芽性反応(マクロファージを中心とした炎症)
  4. 顕微鏡で見ると多核細胞と乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫があります
  5. 酒さの一部とも言われています
  6. マクロファージが関係していますが、詳細は不明です
  7. テトラサイクリン系の抗生剤と炎症を抑える内服薬で治療しますが効果が出るのに1〜3ヶ月かかります。
肉芽性・マクロファージについて
  • 【多核細胞】【類上皮細胞肉芽腫】ともにマクロファージの一種です、【マクロファージ】は元は単球とよばれる白血球の一種で、体内に侵入した細菌などの異物を捕食し、抗原や免疫情報を見つけ出します
  • 【乾酪壊死】とは生物組織の壊死の一形態、マクロファージの死体です、脂肪成分が多いために黄白色で乾燥したチーズのように見えます。
  • 【肉芽腫】マクロファージ系の細胞を中心とし,他の炎症細胞も集まって形成される境界が明らかな慢性炎症病巣である。 通常は生体内に長期間消化されずに存在する外来性異物に対する反応である。 肉芽腫の中で類上皮細胞より形成されるものを類上皮細胞肉芽腫と呼びます。

好酸球性膿疱性毛包炎

顔に良くできますが顔以外にも出来ることがあります、毛包炎ですので見た目がニキビそっくりです、以下に特徴を記載します。

  1. 強い痒み
  2. 炎症のあるニキビと似ている
  3. 毛包一に出来る細菌のいない膿
  4. 環状紅斑(必ずではありません)
  5. 顔面に好発(顔以外にの体幹、四肢にも出来ます)
  6. なぜか毛包のない【手の平】【足底】にもできます
  7. インダシンが著効(解熱鎮痛剤です)
  8. 10% にHIV陽性です

背中のニキビ

背中にはマラセチアが原因のニキビが多いのですが、そうでないニキビもあります、マラセチアが原因の場合はほぼ1ヶ月で治りますが、そうでない場合は難治性となります、原因の一つとして範囲が顔のニキビに比べて圧倒的に広いため、塗るのが大変、塗る量が足らないためです。その場合漢方薬を使用しますが、症状が改善するのに3ヶ月以上必要です。

  1. マラセチアが原因の場合は1ヶ月で良くなります
  2. マラセチア以外の場合は改善に3ヶ月以上かかります
  3. 範囲が広いので塗り薬は塗るのが大変です
  4. どうにもらない時は漢方薬を使います

頭皮内のニキビ

顔のニキビと比べて治りが圧倒的に悪いです!膿をもったニキビも抗生剤の外用・内服が全く効かないことも珍しくなく、お手上げな状態がよくありました。そこで【治頭瘡一方】です、この漢方薬のおかげて多くの難治性の頭皮内のニキビを治すことが出来ました。

  1. 顔のニキビに比べて治りがとても悪い
  2. 【治頭瘡一方】が切り札

ニキビのメインページへ